春日山城を出て3日が過ぎた。
森と海に挟まれた街道を抜けると、
遥か向こうに、お城が見えてきた。
熊虎は馬を止め、遠くに見える城を指差した。
川*^∇^)つ<ご覧くだされ、小宮殿。
川*^∇^)∩<向こうに観えまするのが、魚津城じゃ・・・・。
ル*’ー’リ<わぁ〜〜〜。ついに着いたんですね。
遥か向こうにはお堀に囲まれた、平城。
神保と椎名家で争いを続けている魚津城であったが、
まだ大きな被害は受けていないらしく、今の所、お城は落ち着いた様子であった。
川*^∇^)<どうやら間に合ったな、宇佐美。
从*・ェ・リ<はい。間に合いましたな!!
从 ・ェ・リ<先ほど、一足先に魚津城に使わせた部下が、椎名の者を連れ、戻って参りました。
从 ・ェ・リつ<椎名康胤(しいなやすたね)が熊虎様に、ご挨拶をしたいとの事です。
从 ・ェ・リ<我々と護衛の兵たちは城内へ・・・。
从 ・ェ・リつ<他の者たちは、とりあえず、城外に陣を敷きましょう。
川*^∇^)<そうか。
熊虎は頷くと、
馬の上からストンと地面の上に着地する。
そして、小宮も自分の馬の上から降ろしてあげ、こう言ったのであった。
川*^∇^)<小宮殿。私は今から椎名康胤と会談することになる。
川*^∇^)つ<あなた方は、しばし、城外で他の者たちとお待ちいただけますか?
ル*’ー’リ<はい、解りました!!!
川*^∇^)つ<では、また後に・・・。
そう言って、
熊虎は宇佐美を引き連れ、椎名の使者たちと共に、城内へと向かって行ったのであった。
そんな熊虎の背を見送りながら、小宮は、心の底から思うのであった。
ル*’ー’リ oO(去って行く後姿もカッコイイなぁ〜〜)
ル*’ー’リ oO(あぁ・・・熊虎さまぁ〜〜)
ル*’ー’リ∩ oO(なんかもう・・・・・・・もはや、恋だわ、これは!!!)
夕暮れの魚津城。
小宮は城の向こうに沈みゆく夕陽を眺めながら、
一方的に恋の予感を感じているのであった・・・。
2
あれからすぐに、若月達4人は魚津城に招かれ、椎名康胤と謁見した。
その時の話によると・・・。
椎名家はたびたび、隣国の神保家から圧迫を受けていた。
それを知った熊虎は、神保家に再三、椎名家に攻撃をせぬよう仲裁をしていたが、改善はされていないようであった。
なので、椎名家は長尾家に、応援を要請・・・長尾が神保の制裁に現われたと言う運びらしい。
川 ´・_・`リつ<椎名康胤は長尾家の人間を、養子に迎えてるらしいよ。
川 ´・_・`リ<なので、長尾とは一応、親戚の関係って事だね。
ル*’ー’リ<だから、熊虎様は、椎名家の援軍に来たワケね。
从;´∇`)<状況がさっぱり解らないから、椎名さんと話してる時、とりあえず頷いてたよ。
州;´・ v ・)<同じく。状況がさっぱりだったけど、上杉の説明で、よーやく解ったよ。
ル*’ー’リつ<よーするに、「僕の親戚の、椎名君をイジメないでくれ!!」と、長尾君が神保君にメールを送っても、神保君がイジメをやめないから。
ル*’ー’リ<長尾君が神保君を直々に、怒鳴りに来たワケね。
川*´・_・`リつ<そう!!まさにそれ!!
从;´∇`)∩<なるほど!!その説明、むっちゃ、解りやすい!!!
州;´・ v ・)<さすが小宮・・・。
魚津城の二の丸にある屋敷。
客人様の簡素なお部屋に布団を引いて、その上に座り込みながら、
4人は、上杉のレクチャーによる勉強会を開いていた。
川 ´・_・`リつ<2・3日中に、神保君の拠点である、富山城に攻め込むみたいだね。
从;´∇`)<そっか。イジメをやめないから、長尾君が神保君のトコに乗り込みに行くわけね。
州;´・ v ・)<すっごい解りやすいわ。小宮の説明のおかげで。
ル*’ー’リ∩<ふふ〜ん!!さっすが私だねぇ!!
こうして。
状況がさっぱり解ってなかった上杉以外の3人も、
上杉の解説と、小宮の俗っぽい例えのお陰で、長尾と椎名と神保の関係がなんとか掴めたのであった。
それにしても・・・。
从*´∇`)<でも、なんか。
从*´∇`)つ<こうやってお布団の上で、女4人でくっちゃべりながら、歴史の勉強してると・・・。
从*´∇`)∩<学生時代とか思い出しちゃうよね!!!
ル*’ー’リ<あ!わかるぅ〜〜!!!!
ル*’ー’リ∩<試験前に「勉強会」とか言って、友達の家でお泊り会とかしたよね。
川*´・_・`リ<したした!!!
州*´・ v ・)∩<でも、そのうち、勉強会じゃなくなっちゃうんだよね〜。
川*´・_・`リ<そうそう!!恋バナとかになっちゃうんですよね!!!!
从*´∇`)<好きな人、言い合ったりね!!
ル*’ー’リ<え〜〜〜やだ〜〜〜!!!コイバナ、しちゃいますぅ?!
ル*’ー’リ<もう。恥ずかしいなぁ〜〜!!
ル*’ー’リつ<みんなも、好きな人、ちゃんと言うんだよ!!
ル*’ー’リ∩<えーーとぉ。あたしの好きな人はぁ・・・・・熊虎君かなぁ!!
从;´∇`)<聞いてねぇよ。
川;´・_・`リ<勝手に一方的に教えんなよ・・・。
州;´・ v ・)<お前の好きな人聞いて、誰得なんだよ。
誰も聞いてもいない上、誰も興味ないのに、
勝手に好きな人を語り始める小宮に、非難轟轟の若月達。
しかし、「聞いてもいないのに、勝手に好きな人の話とか始める勘違い女。確かに学生時代にもいたなぁ」と、
小宮の言動に、なんだか懐かしくも感じるのであった。
ル*’ー’リつ<じゃぁ、次は曹長の好きな人の話、お願いします!!
州;´・ v ・)<ハァ?!なんで!!!!
ル*’ー’リ∩<だって、私の好きな人、教えたじゃないですか。
州;´・ v ・)<お前が、誰も聞いてもいないのに、勝手に話し出したんだろ〜!!!!
从*´∇`)<あ、でも。曹長の好きな人は、気になるかも〜!!
川*´・_・`リ<気になるぅ!!誰ですか?曹長!!!
小宮のせいでなんだかすっかり、女子のお泊り会の様な空気になる一同。
ここのワンシーンだけ見てると、とても戦国時代、しかも女性自衛官のお話しとは思えぬ、能天気さなのでありました。
念のため説明しておきますが、このお話は、戦国時代が舞台の女性自衛官のお話です(BY作者)。
州;´・ v ・)<ウソでしょ!ホントに話すの!?
从*´∇`)∩<小宮のは興味ないけど、曹長のはめっちゃ、興味あります!!
川*´・_・`リ∩<興味しんしんしんであります!!!
ル*’ー’リつ<ほらほら、もう、言わなきゃダメな空気になってますよ!!
州;´・ v ・)<ほ、ホントに!?
まさかのとばっちり展開に戸惑いを覚える若月。
だが、すっかりノリノリになってる3人に、若月は誤魔化す事が出来ないのを悟るのであった。
はぁ・・・と小さくため息をつくと、若月は3人に語るのであった。
州;´・ v ・)<でも、あんまりキャッキャするようなお話しじゃないよ?あたしのコイバナは・・・。
从*´∇`)∩<別にロマンチックじゃなくてもいいんですよ。
川*´・_・`リ<生々しいお話しでも、それはそれで、盛り上がりますって!!!
ル*’ー’リつ<で・・・・好きな人、誰なんですか!!!
州;´・ v ・)<・・・・・・・。
州;´・ v ・)<自衛官に入ったばっかだった頃、上司だった人なんだけど・・・・。
从*´∇`)<マジで!!同業者ですか!?
川*´・_・`リ<え?!もしかして、今も付き合ってるんですか?!!!
ル*’ー’リ=3<キャーーー!!何処の課の上司ですか!!!?
完全に大盛り上がりの3人。
確かに、コイバナで相手が「自分らの知ってる人間(同僚)」だった時の盛り上がりと言うのは、
何処の職業とて、ハンパないものである。
しかし・・・。
盛り上がる3人に若月の口から告げられた言葉は、意外すぎる言葉であった。
州;´・ v ・)<・・・・・・・・・。
州;´・ v ・)<今はもう・・・・何処の課の人間でもないよ・・・。
ル*’ー’リ<へ?
川*´・_・`リ从*´∇`)<え?
州;´・ v ・)<・・・・・・・・・・・。
州;´・ v ・)つ<その人・・・1年前、富士での演習の最中に、谷へ滑落して死んだんだ。
ル;’ー’リ<え!!!
从;´∇`)<え・・・・・・。
川;´・_・`リ<・・・・・う・・・そ・・・。
川;´・_・`リ<1年前の・・・・富士の・・・演習で・・・・。
从;´∇`)<あ!!その事故のお話、聞いたことある!!!
ル;’ー’リつ<大雨で地滑りが起きて、確か・・・2人ばかり・・・行方不明になった・・・。
州;´・ v ・)<うん。かなり、陸自の間で話題になったからね。みんなも知ってるでしょ?
川;´・_・`リ<・・・・・・・・・・・その時の人が・・・・曹長の・・・・好きな人・・・・。
ル;’ー’リ<・・・・あの。
ル;’ー’リ<なんか・・・・スイマセン。余計な事聞いて。
从;´∇`)<ごめんなさい。まさか、曹長の恋人が、あの事件で巻き込まれた人だなんて、思わなくて・・・。
州;´・ v ・)∩〃<え?あ、違う違う!!全然、恋人じゃないって!!
州;´・ v ・)<憧れてただけ。入ってすぐに同じ所属になったけど、半年ぐらいで異動しちゃったから。
州;´・ v ・)<ぶっちゃけ、私の事も、彼は知ってるか謎のレベル。
ル;’ー’リ<そっか。全然、付き合ってたワケじゃないんだ・・・。
川;´・_・`リ<向こうに取っちゃ、ただの他人か・・・。
从;´∇`)<つまり、曹長の脳内か・・・。
州;´・ v ・)<えぇえぇ!!脳内でスイマセンね!!
从;´∇`)<でも、なんか・・・・ごめんなさい。
川;´・_・`リ<まさか、曹長の好きな人だと思わなかったから・・・。
州;´・ v ・)∩<いや。なんかこっちも、せっかく盛り上がってた空気、しんみりさせちゃって、スマンかった!!
州;´・ v ・)<憧れてただけだから、別にそんな、私と深い関係がある相手でもないから、気にしないでよ!!
州;´・ v ・)<ってか、もう、寝ようか!!!明日も早いし!!!
そう言って若月は、
アセアセと室内に灯っていた灯明を吹き消した。
その瞬間、現代の日本からは考えられないぐらい、部屋はまっくらになった。
まったくの暗闇の中、4人は布団にもぐりこむ。
すると・・・
シーンと静まり返る空間の中、
小宮はポツリと、誰へともなく、呟いたのであった。
ル;’ー’リ<・・・・・・ねぇ、みんな。
川 ´・_・`リ<なに?
从 ´∇`)<どした?
ル;’ー’リ<平成に帰れるよね?うちら・・・絶対。
州;´・ v ・)<・・・・・・・・。
川;´・_・`リ<・・・・・・・・。
从;´∇`)<・・・・・・・・・。
从;´∇`)<帰れるよ。いつか、きっと・・・・。
州;´・ v ・)<うん。・・・きっと帰れる・・・。
川;´・_・`リ<・・・・・・・・そう。だね。きっと。。
ル;’ー’リ<・・・・・・・・・だよね。
暗闇の中聞こえる、4人の不安げな声。
4人はそれぞれに、様々な不安や思いを胸に秘めながら、
眠りについたのであった・・・。
(つづく)