若月達女性自衛官が、
糸魚川付近で謎の神隠しにあった、2014年・・・。


それから遡ること、450年程前。


同じ糸魚川付近では、一人の戦国大名が、国を統治していた。
その大名は、長尾熊虎。
彼の晩年の名は、言わずと知れた・・・越後の龍・・・・上杉謙信であった。


その彼が、越後の守護大名となったのは、1550年の事。
当時、越後の大名であった、上杉定実が急死した。
定実に子供はいなかった為、越後上杉家は断絶してしまい、大名不在の状態になってしまった。
そこで。当時、越後の守護代を務めていた20歳そこそこの青年である長尾熊虎が、足利幕府の命を受け、越後の大名に奉じられた。


だが。幕命とは言え、その決定に不満を抱く一門も多かった・・・。


反乱分子は次々に内乱を起こす。
しかし、熊虎は圧倒的な戦の手腕で、それら反乱軍を蹴散らして行ったのであった。

そして――1551年。







第1章 〜 若き守護大名 〜







春日山城。
その中に、『毘沙門堂』と呼ばれる、毘沙門天を祀る、小さな御堂があった。
毘沙門天を崇拝する熊虎は、精神を統一する際は、必ず、この毘沙門堂にこもっていた。
この日も・・・熊虎は毘沙門堂にこもり、座を組み、机に向かって何やら書をしたためていた・・・。


川*^∇^)つ<・・・・自らに運を定めるべし。


真っ白な和紙に、筆で綺麗に文字を綴って行く熊虎。
すると、「熊虎・・・」と、ふいに熊虎に呼びかける女性の声がした。
書をしたためるのに夢中になっていた熊虎は、突然の声にビクッと肩を震わせた。

川 ´‘ _‘||<あら・・・・ごめんなさい。驚かせてしまいましたね?

川;^∇^)<あ・・・姉上でしたか!!

熊虎が振り返ると、
そこにいたのは、姉の綾ちょ御前であった。
綾ちょ御前は熊虎の肩に手をかけ、綴っていた書を、そっと覗き込んできた。

川 ´‘ _‘||つ<あら・・・私のせいで、折角の書に、墨が跳んでしまいましたね。ごめんなさい。

そう言われて、熊虎が見てみると確かに、
驚いた反動で筆の墨が紙に跳んでしまったらしい。
墨が点々になって、文字の一部を、微かに汚してしまっていた。

川*^∇^)つ<いえ・・・。これぐらい、どうってことはありません。

川*^∇^)<姉上がいらしてたのに気付かなかった、私が悪いのです。

川 ´‘ _‘||<書くのに集中していらしたみたいですね。

川 ´‘ _‘||<・・・・運は天にあり、鎧は胸にあり、手柄は足にあり・・・

川 ´‘ _‘||つ<戦の心がけを歌った詩ですか?とても、あなたらしい詩です。

川*^∇^)∩<いつ、いかなる時も、心意気が揺るがぬよう。書にしたためていたのです。

川*^∇^)<ところで・・・姉上はいつ、春日山城にいらしてたのですか?

姉の綾ちょ御前は、長尾政景の元へ嫁ぎ、普段は坂戸城で暮らしていた。
そう遠い場所ではないとは言え、熊虎がこうして姉と顔を合わせるのも、半年ぶりの事であった。
すると・・・・綾ちょ御前は「つい、先ほど到着したばかりですよ」と答え、笑みをこぼした。

川 ´‘ _‘||<宇佐美に尋ねて、毘沙門堂にいる事を教えて頂きました。

川*^∇^)<そうでしたか。

川*^∇^)つ<到着して早々に私の場所を尋ねるとは・・・何か、早急な事でもおありですか?

川 ´‘ _‘||<えぇ。さすがですね、熊虎。おっしゃる通りです。至急、あなたに伝えたい事がありました。

そう言うと・・・。
綾ちょ御前は机を挟んで、熊虎の正面に正座をした。
そして、不敵な笑みを浮かべ。こう・・・熊虎に伝えたのであった。

川 ´‘ _‘||<私の夫・・・長尾政景が、貴方に対し、謀反を起こします。

川;^∇^)<!!!!!

川 ´‘ _‘||<至急、兵を出しなさい。

しばし、向かい合ったまま、言葉を失う熊虎。
綾ちょ御前は笑顔を浮かべたままで、真意が全く掴めない。
熊虎はしばし黙した後、恐る恐る、綾ちょ御前に問いかけた・・・。

川;^∇^)<何故、それを教えてくれたのですか?

川 ´‘ _‘||<何故・・・と言うと?

川;^∇^)つ<夫の長尾政景を、見捨てなさるのですか?

いくら姉弟とは言え、嫁いだ以上は、姉は長尾政景の一族。
にも関わらず、弟に夫の謀反を密通するとは・・・長尾政景を見限ると言う事なのだろうか?
・・・・・・・・。
しかし、熊虎の問いに綾ちょ御前は、クスクスと声を漏らした。
そして綾ちょ御前は、至極冷静な面持ちで、熊虎にこう答えたのであった。

川 ´‘ _‘||<いいえ、逆です。私は大切な夫を、カワイイ弟に討ち取られない為に、内通しているのです?

川*^∇^)<え・・・・?

川 ´‘ _‘||<私は、大切な夫と可愛い弟に争って欲しくはありません。手を取り合って欲しいのです。

川 ´‘ _‘||<しかし。夫はプライドが高いですから。僅かでも勝機があれば、決して降伏しません。死ぬまで戦うかもしれません。

川 ´‘ _‘||<ですが、完全に城を包囲され、援軍を絶たれ、勝機がなくなれば・・・いづれ降伏するでしょう。

川;^∇^)<・・・・・・・・。

川 ´‘ _‘||<私は夫を死なせない為に、夫の勝機を潰すのです。

川 ´‘ _‘||つ<さぁ、夫に解らせてあげなさい。どこを探しても、勝機など、最初からなかったと言う事を・・・。

川;^∇^)<・・・・・・・・。

川;^∇^)<ハハハ。やはり、姉上には敵わないな・・・。

そう。綾ちょ御前は「夫を死なせない為に、夫の勝機を潰す」と言った。
これは熊虎への内通であると同時に、熊虎への交換条件でもあった。
つまり、謀反を内通する代わりに、「夫を死なせない(処刑しない)」のが条件と言う事だ。
本来、謀反ともなれば・・・断罪は免れないものだが・・・。

熊虎は小さくため息をつき、ゆっくりと立ち上がる。
そして、御堂の壁に立てかけていた刀を手に取った。
すると・・・。

川 ´‘ _‘||<ところで熊虎・・・。

川 ´‘ _‘||<制圧後、夫は・・・。

川*^∇^)<・・・・・・・・。

川*^∇^)<解ってます。城は取り上げますが、長尾政景は殺しません。

川*^∇^)<姉上も義兄上も、我が軍へ来てください・・・。

川 ´‘ _‘||<・・・・・・・・そう。

川 ´‘ _‘||<ふふ・・・綾のお願い事・・・なんでも御見通しなんですね。熊虎は。

川;^∇^)<そして。私が必ずこう答えるであろう事・・・姉上も、最初から御見通しだったのでしょう・・・。

数日後・・・
長尾政景は謀反を起こし、坂戸城に立てこもる。
しかし、事前に動きを察知していた熊虎軍の対応は早かった。
政景が蘆名氏を味方につけぬよう、事前に、蘆名家に牽制をしかけておいた。

そして、熊虎率いる長尾軍は、手始めに政景に味方をする栃木城を攻撃。
さらに、春日山城(現在の上越市)から、長尾政景の籠る坂戸城(現在の南魚沼市)へと兵を向けたのであった。
熊虎軍に比べ、政景軍は寡兵。
あっという間に、坂戸城は熊虎軍に包囲されたのであった。






こうして、熊虎軍が大軍を持って城を包囲した、
その夜。
坂戸城では・・・・。


メイ#´‘ w‘)∩<おのれぇ!!!数日前から・・・綾は何処に行ったぁああ!!!

メイ´‘ w‘)<ま、まさか・・・・・・ワシを捨て、熊虎の元へ身を寄せたのでは・・・。

メイ#´‘ w‘)∩<ワシを見殺す気かぁああ!!許さんぞ、綾ちょーーー!!!ガオォオオオオ!!!

リナp´ v`)つ<まぁまぁまぁ、政景さま。

リナp´ v`)<近いうち、戻ってきますよ、綾ちょ様!!どーか、落ち着いて下さい。

リナp´ v`)つ○<まぁ、餅でも喰って、待ってましょうよ。

メイ;´‘ w‘)モグモグ <ふぉのれ〜。モグモグ。綾ふぉめ〜。モグモグ。きっと、ふまとらの元ふぇ、逃げモグモグ・・・。

リナp´ v`) oO(全く、めんどくせぇなぁ〜〜〜。オッサンのメンドーみるの・・・)

リナp´ v`) oO(大体、言う事成す事、昼ドラっぽくて、暑苦しいんだよな。政景のオッサン)


こうして、坂戸城内でキレにキレまくり、
従者の勝田からも、すっかり『オッサン、クソうぜぇ』扱いされている政景。
とりあえず勝田は、政景に好物を与えて、一時的におとなしくさせるのでありました。
すると・・・。


川 ´‘ _‘||<・・・・・・ただ今、戻りました。

メイ#´‘ w‘)<ふぬ!!!綾ひょ!!!!

メイ#´‘ w‘)<よふも、モグモグ!!ぬけぬけと、もひょって来ひゃな!!!モグモグ!!

メイ#´‘ w‘)つ<しってるんだじょ!!!モグモグ!!ワシをおひて、モグモグ、ふまとらの元へモグモグ!!

川;´‘ _‘||<・・・・・・・えっと。とりあえず、キレるか、食べるか、どっちかにしてください。

メイ#´‘ w‘)ゴクンッ

メイ#´‘ w‘)∩<貴様、勝手に城を抜け出して、熊虎の元へ行ったのであろう!!!どういうつもりだ!!!

川 ´‘ _‘||<・・・・・・どういうつもりも何も。熊虎に、降伏を申し出てまいりました。

メイ;´‘ w‘)<こ、降伏・・・だとぅ!!!!

川 ´‘ _‘||つ<解らないのですか?熊虎軍と我々は、多勢に無勢。勝ち目などありませぬ。

川 ´‘ _‘||<あなたは熊虎の軍門に下りなさい。

メイ;´‘ w‘)∩<ふ、ふざけるな!!!誰が熊虎如きに降伏なぞ・・・。

メイ#´‘ w‘)<大体、古志長尾氏、嫌いなんだよ!!ワシは上田長尾氏としての、プライドがだな!!

川 ´‘ _‘||<・・・同じ越後の長尾氏同士で対立しててもしょうがない。だから、私があなたの元へ嫁いだのでしょう?

メイ;´‘ w‘)<・・・・そりゃまあ。そーですけど。


そう。同じ『長尾氏』でも、いくつかの分家があった。
その中で、長尾熊虎に味方をしていたのは、古志長尾氏であった(熊虎の母が古志長尾氏)
そして、政景の家系の上田長尾氏は、古志長尾氏と長年対立していた。
それ故、政景は熊虎に与するのを拒んでいたのであった。


川 ´‘ _‘||<同じ、越後の長尾氏同士で争うのはやめにしましょう。

川 ´‘ _‘||つ<あなたが熊虎の下につけば・・・古志と上田の争いに終止符が打たれ、血族の争いも消えます。

川 ´‘ _‘||<そうすることで、長尾氏は一族が団結し、揺るぎないモノとなるのです。

メイ;´‘ w‘)<ぬうううううううう。

メイ;´‘ w‘)<・・・・・・・・・・。

メイ;´‘ w‘)oO(確かに、ここで意地を張って上田長尾氏を滅亡させてはしょーがない)

メイ;´‘ w‘)oO(それに、命あらばいずれ・・・上田長尾氏が古志長尾氏を滅ぼし、越後の長尾氏の頂点に立つ日も・・・)

メイ´‘ w‘)つ<わ、解った。熊虎の軍門に降ろう・・・。

川*´‘ _‘||<まことですか!!!

リナp´ v`) oO(おほぅ!!あの偏屈が、素直に熊虎の下につくなんて!!祭りだ!!)


こうして・・・。
数年にわたり繰り広げられた、長尾家の家督争いは、
坂戸城の戦いを持って、終止符を打たれ、越後は長尾熊虎によって統一されたのであった。




(第1章 若き守護大名 完 )


      第2章@へつづく・・・












☆おまけコーナー☆



川*^∇^)∩<くまとらと行く、歴史街道旅!!@

※このコーナーは、このシリーズの中で出てくる場所の解説や美味しい食べ物。
  ストーリーに纏わる歴史を、熊虎様がしったかしてくれる、ナルチカのアレっぽいコーナーです。




川*^∇^)つ<今回のドラマの舞台は、春日山城です。



川*^∇^)つ<ご覧のとおり。春日山城は現在の直江津駅の側にあります。

川*^∇^)<坂戸城は現在の南魚沼駅の近くですね!!

川*^∇^)∩<そして、若月駐屯地は糸魚川なので、春日山城より、もっと西側の富山寄りの方になります。

川*^∇^)<ちなみに糸魚川は(いといがわ)と読みます。ちょっと難読地名ですね。

从;´∇`)oO(い、『いとさかながわ』じゃなかったのか・・・。)

川*^∇^)つ<糸魚川と言えば、Berryz工房が初めてW(ダブルユー)さんとやった、

川*^∇^)<Wスタンバイツアーのファイナルの会場でした!!

ル*’ー’リ<なので、何気に、記念すべき場所だね〜。

川*´・_・`リ<懐かしいなぁ〜しみハム時代・・・。


※ちなみに当時、新潟であるにも関わらず、相場が恐ろしい事になっており、ある種伝説の糸魚川公演。
  高騰の原因として、当時はまさか、10年も続く長寿グループになると誰も思ってなく、次のツアーとかあるのかすら不明だった為、みんなファイナルに必死だったらしい。
  その為、異様なまでの高騰ぶりから、他所ヲタからは『ベリヲタいかてるZ』と恐れられておりました。
  ちなみに私もまだベリヲタではなかったので、当時は『いかれてるZ』と思ってた側ですw


川*^∇^)つ□<あと、直江津は『鱈めし弁当』が有名みたいです!!

川*^∇^)∩<駅弁大会で1位になった事もあるそうなので、春日山城を見物に行った際は、

川*^∇^)つ<帰りに『鱈めし弁当』を買ってみるといいと思います。

州*´・ v ・)<はい!是非買いたいと思います!!!

川*^∇^)∩<以上!

川*^∇^)<・・・・・・・・。

川*^∇^)∩<コーナーでした!!

ル;’ー’リ oO(さては、コーナータイトル忘れたな・・・・熊虎様)



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